岩手県の葬式/葬儀の風習

岩手県では、雪深い東北地方ならではの風習の他、岩手県独自の風習も数多く見ることができます。

・逝去から葬式/葬儀までの日数が数日間空けられる
山が多く、冬には雪深くなる岩手県では、現在のように交通網が発達する以前、人が行き来することは困難でした。その頃に始まった風習として、逝去から通夜・葬式/葬儀までの間に3～5日間程度の猶予をとるというものがあります。

・通夜が何日も続けられる
逝去から葬式/葬儀までの間を空ける地域がある岩手県では、通夜が何日間も続けられるという風習があります。
逝去後、まずは一般的な通夜を執り行います。通夜の開式時間を定めない地域もあり、弔問客が夜遅くまでやってくることも。
一般的な通夜後、葬式/葬儀までの間、連日通夜が営まれます。一般的な通夜と区別し、再び執り行われる通夜のことは、「お逮夜（おたいや）」と呼ばれます。「逮夜」とは、「次の日に渡る」という意味です。
お逮夜は招待された近親者のみで行うことが通例で、儀式の流れは通夜と変わりません。

・葬式/葬儀前に火葬を済ませる「前火葬」が一般的
葬式/葬儀までに日数がかかる岩手県は、葬式/葬儀の前に出棺・火葬を済ませる「前火葬」が主流の地域です。
多くの地域では、通夜後に火葬を行いますが、通夜と葬式/葬儀の間の日数が多く空く場合は、通夜前に火葬を済ませることも。
遺骨で葬式/葬儀を行うことを、「骨葬」と呼びます。岩手県の他、東北地方や北海道など、雪深く、人が集まりにくい場合がある地域によく見られる風習です。

・葬式/葬儀場に遺族が後に入る地域がある
葬式/葬儀を行う際は、葬式/葬儀場に先に遺族が入り、参列者を出迎えるという流れが全国的には一般的。
しかし、岩手県では、その逆の地域があります。先に参列者が葬式/葬儀場に入り、その後に遺族が行列して入場するという流れになります。

・棺の中に入れる六文銭が「100万円」
六文銭は三途の川の渡り賃と考えられ、棺の中に入れる風習が多くの地域で見られます。とはいえ、本物のお金を入れる地域は、棺の中に金属を入れることが禁止されていることもあり、現在では紙に印字した六文銭を入れることが一般的。
岩手県でも、紙の六文銭を入れる風習がありますが、他の地域に比べ一風変わっています。他の地域が本物そっくりの1文銭を6枚入れることに対し、岩手県では、「100万円」などと書いたものを入れる風習があるのです。
故人があの世でお金に困らないようにとの強い気持ちの表れか、場合によっては「1,000万円」、「1億円」と、さらに高い金額を書く場合も。
このように棺にお金を入れる風習は、「冥銭」と呼ばれ、日本以外でも見られるものです。

・野辺送りの際に白い布を身につける風習がある
野辺送りとは、故人を火葬場や墓まで葬列を組んで歩き運ぶこと。この野辺送りの際、岩手県では男性・女性ともに白い布を身につける風習があります。
男性は額に三角形の布をつけます。幽霊をイメージさせるこの布は、「宝冠（ほうかん）」などと呼ばれるものです。一方、女性は白いリボンを身につけることが習わしとなっています。
魔除けのためとも、故人と同じ格好をすることで、「共に見送ります」という気持ちを表すためとも考えられている風習です。

岩手県の葬式/葬儀の香典と香典返し

岩手県では、通夜のあとに会食の場が設けられる「通夜振る舞い」という風習があります。通夜振る舞いの招きを受けた参列者は、香典とは別に、「御夜食料」、「御手伝」という表書きをしたお金を遺族に渡すしきたりです。
また、故人の近親者は、血縁が近い順に、「通夜見舞い」として、おこわや餅を持ち寄る風習もあります。
香典の相場は、関係性・年齢によって異なりますが、目安は以下の通りです。
近隣の人：3,000円　友人・知人：5,000円　勤務先の同僚、部下：5,000円　勤務先の上司：10,000円　親族：10,000円　身内：30,000円、50,000円
香典返しは、岩手県では忌明け法要後に行う後返しが元は一般的ですが、最近では葬式/葬儀当日にお返しする即日返しも増えてきています。

岩手県の葬式/葬儀の流れ

岩手県の葬式/葬儀は、通夜前、または葬式/葬儀前に火葬を済ませる「前火葬」が一般的。主に以下のような流れが多く見られます。

ご臨終後、葬儀屋/葬儀会社へ依頼
↓
ご遺体を自宅など安置、枕飾り（宗派による）を施す
↓
葬儀屋/葬儀会社との打ち合わせ
↓
ご遺体を清拭、着替え後、納棺
↓
出棺
↓
火葬
↓
通夜
↓
お逮夜
↓
葬式/葬儀
↓
精進落とし
↓
忌明け

また、通夜・葬式/葬儀の流れは以下の通り。お逮夜の流れは通夜と同様です。

＜通夜の流れ一例＞
受付
↓
開式
↓
僧侶入場
↓
読経、焼香
↓
法話・説教
↓
閉式
↓
喪主挨拶
↓
通夜振る舞い

＜葬式/葬儀の流れ一例＞
受付
↓
遺族入場
↓
開式
↓
僧侶入場
↓
読経
↓
弔辞・弔電の奉読
↓
焼香
↓
僧侶退場
↓
閉式
↓
喪主挨拶
↓
精進落とし

岩手県の葬式/葬儀費用の平均相場

葬式/葬儀費用は、「葬式/葬儀自体の費用」、「飲食接待費（香典返し含む）」、「宗教者への布施」の3つの内訳の合算です。
岩手県の平均葬式/葬儀費用はおよそ170万円。全国平均は、およそ188万円となっています。

岩手県の家族葬の依頼方法

近年、増えてきている葬式/葬儀の形が、「家族葬」。故人の家族・親族・友人など、近しい人たちだけで行う葬式/葬儀のことです。
岩手県では、全国規模の葬式/葬儀屋/葬儀会社の他、地元に根ざした葬式/葬儀場でも家族葬を選ぶことができます。

＜岩手県で家族葬に対応している葬式/葬儀場一例＞
・駒木葬祭（盛岡市）
・メモリアル大船渡　プラザメモリアルホール（大船渡市）
・末広会館　セレモニーホール紫雲（一関市）

家族葬プランを設けてくれている葬式/葬儀場であれば、わかりやすくて安心です。

岩手県の葬式/葬儀場の選び方

岩手県には、地元に密着した葬式/葬儀場が多くあります。地元に根を張る、歴史がある葬式/葬儀場は信頼の証の1つです。

＜岩手県の葬式/葬儀場一例＞
・駒木葬祭（盛岡市）：創業明治10年の老舗葬式/葬儀場。盛岡市の「町の葬儀屋さん」として実績・経験を積み上げています。
・こいわ葬儀屋/葬儀会社（西磐井郡花泉町）：地域密着型。1級葬祭ディレクターが在籍。
・二戸葬祭センター（二戸市）
・JA葬祭　花巻葬祭センター（花巻市）

花巻葬祭センターの他にも、岩手県にはJAが葬式/葬儀を行うJA葬祭場も県内に多くあります。
自宅葬に対応している葬式/葬儀場や、貸し切りで葬式/葬儀を営むことができる葬式/葬儀場など、特徴はさまざま。予算・希望に応じて、比較検討してみましょう。


＜良い葬式/葬儀場を選ぶ際のポイント＞

葬式/葬儀を執り行う葬式/葬儀場を選ぶには、葬儀屋/葬儀会社にご依頼することになります。葬儀屋/葬儀会社によって、料金が異なりますので、良心的な葬儀屋/葬儀会社を選ぶポイントを掴んでおきましょう。

・明細がわかりやすい見積書を出し、しっかりと説明をしてくれる。
・プラン内の明細も開示してくれる。
・遺族の希望を聞き、選択肢を与えてくれる。
・費用を抑える形での葬儀/葬式を希望した場合でも、丁寧に応対してくれる。
・契約を急かさない。強引な営業をしない。

葬式/葬儀プランは、一見わかりやすくて便利です。しかし、気をつけておきたい点が、プランの明細です。
明細を確認し、よくわからないものに費用が掛かっていないか、反対に、別途多くの支払いが生じるようなプランになっていないかなど、一通り確認しておくことが必要です。プラン任せにせず、内容を理解しておくだけでも、トラブルを回避することができます。
口コミや御近所や親戚からの経験談を参考にしながら、数社の葬儀屋/葬儀会社に問い合わせ等を行い、希望に添える葬式・葬儀が行える葬式・葬儀場選びが基本になります。
親切丁寧な対応で料金プランも明確な葬儀屋/葬儀会社を選び、より良い葬式/葬儀を執り行えるようにいたしましょう。