奈良県の葬式/葬儀の風習

古く日本の都として栄えた奈良の平城京。その奈良時代よりももっと古代の旧石器・縄文時代からも遺跡が多く出土しており、先人たちの遺品が現代まで連綿と続く奈良県の歴史の長さを物語っています。
そしてまた、現代においても、奈良県では葬式/葬儀の際などに昔からの風習が色濃く残っています。葬式/葬儀の際には「垣内(かいと)」と呼ばれる近隣の組織が親族に代わり受付や参列者の接待を手助けするなど、昔からの地域内の繋がりを今も大切にしているのが良く表れています。
核家族化や、近隣との付き合いが減少する現在でも、変わらずに風習を守っているところも少なくありません。

・残り続ける「土葬」の風習
奈良県には国宝にもなっている古墳があります。その古墳の歴史になぞらえるように、奈良県の山間部の一部地域では、未だに土葬の風習が残っているところがあります。現在では日本における葬式/葬儀は99%が火葬ですが、自治体の出す条件をクリアすれば土葬を行うことは可能です。
奈良県の一部地域では、自治体の条件をクリアしており、昔からの土葬の風習が今もなお続いています。また、土葬の際には「野位牌」と呼ばれる位牌を墓に置いておく風習がありますが、土葬を行っていない地域でも「野位牌」の風習だけが残っているところもあります。
その場合には、葬式/葬儀の際に一般的な位牌の「内位牌」と「野位牌」の二つを一緒に用意しています。

・故人へのお見送りの儀式
奈良県では、葬式/葬儀の際に故人が迷わず成仏出来るように「茶碗割り」を行ったり、藁などを門前で燃やす「門火」などの儀式を行う地域もあります。どちらも親族の故人に対する思いやりの気持ちから生まれた風習です。

奈良県の葬式/葬儀の香典と香典返し

・香典
昔は線香や抹香、花などを香典として故人の霊前に供えていました。現代ではそれらの代わりに現金を不祝儀用ののし袋に包んでお供えをしています。奈良県では、香典袋を用意する際には、黒白の水引で用意します。
関西圏では通常、香典袋に黄色と白の水引を使う地域が多いですが、奈良県では違うため間違えないよう注意が必要です。香典は通夜もしくは葬式/葬儀のどちらかで持参します。香典につつむ金額の相場は以下の通りです。

両親：10万円
兄弟姉妹：3万円〜5万円
祖父母：1万円
親戚：1万円〜3万円
勤務先上司：5千円〜1万円
勤務先の同僚・部下：5千円
近所の人：3千円〜5千円

・香典を辞退する地域もある
地域によっては、香典を辞退することがあります。会葬者が多くなりそうな場合や、家族葬の場合など、辞退する理由は親族によりさまざまです。香典を辞退された際には、無理に渡そうとせず、気になる人は供物や供花を贈るなどしましょう。
奈良県の一部地域のみならず、現在では全国的にも香典を辞退するところは増えてきています。また、香典を辞退しても、親族や近親者は香典を用意します。その際には、通常の半分程度の額で用意します。

・香典返し
葬儀の際に頂いた香典のお礼として、礼状と品物を贈ります。香典返しを贈る時期は、忌明けの法要が終わった後で、忌明けの報告とお礼を兼ねて行うのが一般的です。香典返しの内容は、通常は頂いた香典の半額に相当する品物を贈りますが、地域により異なります。
また、奈良県では「会葬御礼」として、お茶や砂糖、クッキーなどの詰め合わせを用意するところが多いです。

奈良県の葬式/葬儀の流れ

奈良県では、地域によって「垣内(かいと)」と呼ばれる近隣の組織が親族の代わりに葬式/葬儀を手伝うところがあります。そのため、葬儀屋/葬儀会社への連絡よりも先に、「垣内(かいと)」へ連絡する親族も少なくはありません。
もし「垣内(かいと)」に葬式/葬儀を手伝ってもらう場合には、葬儀屋/葬儀会社は「垣内(かいと)」に配慮する流れで葬式/葬儀を行う形になります。

・自宅で亡くなられた場合
ご臨終→葬儀屋/葬儀会社(「垣内」)への連絡→ご遺体の安置・枕飾り→葬式/葬儀の打ち合わせ→各方面への連絡→通夜の準備・納棺→通夜→葬式/葬儀→火葬→還骨→初七日の法要→後飾り・諸手続き

・病院で亡くなられた場合
ご臨終・末期の水→葬儀屋/葬儀会社(「垣内」)への連絡→ご遺体の搬送→ご遺体の安置・枕飾り→葬式/葬儀の打ち合わせ→各方面への連絡→通夜の準備・納棺→通夜→葬式/葬儀→火葬→還骨→初七日の法要→後飾り・諸手続き

このほか、一部地域によっては土葬式で行うところや、キリスト教式に行うところもありますが、一般的には上記の流れで葬式/葬儀を行います。

奈良県の葬式/葬儀費用の平均相場

首都圏などの関東地域では、葬式/葬儀費用が高額なところが多い傾向にあります。それは物価や地価の高さに比例していますが、一方で関西方面では昔から葬式/葬儀費用はそこまで高額になりません。
しかし、奈良県の場合は地域ごとの慣習によって、葬式/葬儀費用が大きく変動するため、近年では関東地域と同額程度か、それ以上の高額な費用がかかるところもあります。平成24年度における奈良県の葬式/葬儀の平均費用は、約200万円です。

・葬式/葬儀費用の内訳
葬式/葬儀を行う際には、費用は大きく「葬式/葬儀一式費用」と「飲食接待費用」、「寺院への費用」に分けられます。このほかに「垣内」にお願いをした際には、葬式/葬儀費用とはべつに「垣内」へのお礼をお渡しするところもあります。葬式/葬儀の内容によって、費用は大きく変わってきます。

・直葬平均相場→約18万円前後
・一日葬平均相場→約34万円前後
・家族葬平均相場→約50万円前後
・一般葬平均相場→約70万円〜200万円前後

一般葬では、葬式/葬儀の規模によって費用が大きく変動します。100程度の小規模であれば100万円もかからないところも多いです。また、弔問者が多く予想される葬式/葬儀ほど、費用も高額になってきます。

奈良県の家族葬の依頼方法

奈良県で家族葬を行う際には、一般的にはまず葬儀屋/葬儀会社への連絡を入れるところから行います。家族葬のように小規模での葬式/葬儀では、「垣内」へお願いせずに、親族や近親者のみで行うことが多いです。

・家族葬のメリット
核家族化や近隣との付き合いが減少している現在では、地域の人とは関わらずに親族のみで葬式/葬儀を行うところも増えています。昔からの地域内の繋がりの強い奈良県でも同じことで、喪主が奈良県で住んでいない場合などには、家族葬を希望することが多いです。
家族葬のメリットとして、料理や返礼品などのおもてなし費用や、大きな斎場を利用しなくても良いことから、経済面であまり負担がかりません。また、近親者のみで静かに故人を見送れることなどが挙げられます。

・家族葬のデメリット
家族葬のデメリットは、葬式/葬儀終了後に地域内の人に「なぜ早く教えてくれなかったのか」と言われてしまうことです。奈良県では地域内の繋がりが強いため、故人の地域で葬式/葬儀の度に「垣内」に手伝いをお願いしている場合には、とくにあれこれと後から言われてしまうことになります。
喪主や親族が奈良県に住んでいない場合には、さほど大きな問題にはなりませんが、親族が故人の家で暮らし続ける場合には、地域内で多少関係がぎくしゃくしてしまう恐れがあります。そのため「本当は家族葬がしたいけど、地域の人との関係を気にして結局は一般葬にしてしまう」というところも少なくはないようです。

奈良県の葬式/葬儀場の選び方

奈良県で葬式/葬儀を行う場合は、基本的に故人の住む地域内にある葬儀屋/葬儀会社を選ぶことになります。ただし親族や近親者がそれぞれ遠方に散ってしまっている場合には、なるべく集まりやすいよう、交通の便が良いところにある葬儀屋/葬儀会社を選ぶこともあります。
また、喪主や親族が地域の人たちには内緒で家族葬を行う場合、故人の住む地域からは少し離れた場所で葬式/葬儀を行うこともあります。

＜奈良県の葬式/葬儀場一例＞

・奈良市東山霊苑火葬場（奈良市）：公営斎場、火葬施設有。
・公益社　ならやま会館（奈良市）：民営斎場、安置、200名以上可。
・橿原市営斎場（橿原市）：公営斎場、火葬施設有。
・生駒市斎場（生駒市）：公営斎場、火葬施設有。
・静香苑（北葛西群王寺町）：公営斎場、火葬施設有。
・平群野菊の里斎場（生駒郡平群町）：公営斎場、火葬施設有、100名以上可。
・大和高田市営斎場（大和高田市）：公営斎場、火葬施設有、100名以上可。

奈良県には公営斎場が点在しています。民営斎場も多くあり、火葬場のない葬式/葬儀場では火葬のみを火葬場で行い、葬儀/葬式を斎場で行うという方法をとる方もいらっしゃいます。
また、参列者の人数も葬式/葬儀場を選ぶポイントになります。

＜良い葬式/葬儀場を選ぶ際のポイント＞

葬式/葬儀を執り行う葬式/葬儀場を選ぶには、葬儀屋/葬儀会社にご依頼することになります。葬儀屋/葬儀会社によって、料金が異なりますので、良心的な葬儀屋/葬儀会社を選ぶポイントを掴んでおきましょう。

・明細がわかりやすい見積書を出し、しっかりと説明をしてくれる。
・遺族の希望を聞き、選択肢を与えてくれる。
・契約を急かさない。強引な営業をしない。

口コミや御近所や親戚からの経験談を参考にしながら、数社の葬儀屋/葬儀会社に問い合わせ等を行い、希望に添える葬式・葬儀が行える葬式・葬儀場選びが基本になります。
親切丁寧な対応で料金プランも明確な葬儀屋/葬儀会社を選び、より良い葬式/葬儀を執り行えるようにいたしましょう。